赤ちゃんにぴったり。肌に触れない非接触の体温計にまつわる話。
肌に触れずに体温が測定できる。
「そんな馬鹿な。」「初めて知った。」「あの精度が微妙なヤツね。」
いろんなリアクションがあると思いますが、以前、少しばかり携わっていた非接触の体温計について書いてみようと思います。
使い方で大きく即て結果の精度を改善できることもあります。分析器を正しく使って、簡単・便利な検温を手に入れましょう!!
そもそも非接触って、肌に触れずにどう測ってるの?
こちらは既に廃盤となったようなのですが、非接触で測定できる体温計の走りとして登場したサーモフォーカスプロ。
センサー横のライトから肌に2つの光が写り、交点ができる距離で測定するという測定器でした。30歳以上の方なら何となく覚えているSARSや新型インフルエンザが流行った時期に流通し始めた新しい体温計です。
光を分けると人の目では7色に見える、いわゆる虹。これらは可視光線と言われます。
焼肉に行くと火が当たっていないのにお肉が焼ける、「炭火の遠赤外線効果で!!」などの文言を見ますが、よーく見ると赤外線と書いてあります。
右端の赤よりも右側にあって人の目には見えない光を赤外線。=赤より外の光。
※余談ですが、左の紫を超える光を紫外線と言います。
絶対零度という、水が凍る0度とは異なる熱力学温度(詳細は割愛します)で、セルシウス度(普段使っている温度の単位)で −273.15 ℃を超える物体からは必ず赤外線を放射しています。
物体もしくは物体表面によって赤外線を測定るパラメーターは異なるのですが、それを人の皮膚に最適化し、外気温が一定の範囲であれば体温と相応の値が出るように作られた体温計が赤外線体温計です。
ここでポイントなのは、
- 皮膚表面から発している赤外線を測定していること。=皮膚からの赤外線を測るセンサー
- 外気温が一定の範囲であれば体温と相応の値が出る。=外気温を測るセンサー
2つのセンサーを使って、補正をした値を体温計は表示しています。
↑小難しい説明にはなりますが、ココは体温計を使う際に知っておくことが非常に重要。
ちなみに、脇の下で測る体温計は、
10秒で測定できるもの、15秒のもの、30秒のものなど、短時間で測定できる体温計が一般的ですが、予測式体温計と言います。
「10分」程度かかる実測式という温度計の表示が変動しなくなるまで脇の下に測定する方法もあります。
その違いというのは、15秒間で10分後にどんな温度になっているかを予測して表示しています。
医療現場では体温測定のことを「検温」というのですが、正しい方法を知りたい方はテルモさんのホームページに載っています。
意外と知らないこともあると思うので、是非ご覧になってください。
非接触赤外線体温計とは、
ちょっと脱線をしまして、脇の下の体温計の話を少し書きましたが何が言いたかったかというと、測定原理の異なる分析器で体温を測定しているということ。
どの値が正しいかと言われると、正解はどれも正しいというのが答えです。
実測方式が一番身近に測定できる方法では健康状態をより反映した値とは言えますが、測定器が異なれば多少の値の差異は生じます。
ただし、「体温計」と記載されて販売されているものは、医療機器としての承認を受けており、正しい測定環境・測定方法にて測定された場合に一定の差異の中に収まるように作られています。
【豆知識】
「体温計」という言葉自体が医療機器であることを示します。
正式に医療機器として認められた製品には必ず医療機器承認番号があります。提示のないものは自称体温計となり、本来は体温計とは記載してはいけない製品となります。 (温度計ならセーフ)
ここで重要なのは、測定方法と測定環境、測定対象の状態です。
体温の値が「上手く出ない」「不正確」と感じた際に注意すべきこと
✴️測定音が鳴り終わるまで、しっかりと体温計を測定対象に向けているかどうか。
機械がセンサーで測定中に動かしてしまうことで、センサーが測定対象から外れているかもしれません。素早く測定できるので結果をすぐに見ようとするあまり、測定手技が雑になっているかもしれません。
✴️ 測定しようと思っている所に髪の毛などが被っていないか。
肌の露出している部分で測定する仕様ので、髪の毛など温度が低いものをセンサーが読み取ると値は低くなります。
✴️外から帰って来たばかりで、皮膚表面が冷えているor暑くなっている
皮膚の表面温度が重要なパラメーターとなるため、肌の温度が環境温度に馴染んだ状態で測定しましょう。
✴️汗をかいている。汗を拭ったばかり。
風邪を引いて熱発している時や、汗を拭いた直後など、肌は水分が気化する際に熱を奪われた状態になります。いわゆる気化熱です。
そういう場合は、露出していない首元など気化して皮膚温が下がっていなさそうな場所で測定して参考値にするのがベターだと思います。
簡単にはでありますが、ありがちな原因を書いてみました。
※一般的な原因を私見を交えて書いております。ご参考とご理解ください。また、詳しく知りたい場合には、各メーカーへ御尋ねください。
最後に
特徴を理解して、使い方に慣れてしまうと手放せなくなるアイテムです!!
我が家でも使用していますが、とても重宝しています。
ご家庭では、日々の体調管理やお子さんの保育園に行く際の検温、病院などの医療機関では入院している患者の方々の検温、熱発患者のスクリーニングなど(しかも、肌に触れないため感染管理・衛生管理の観点でもGOOD)、介護施設では脇に体温計をしっかり挟めない方の体温測定など、活躍の幅がたくさんある測定器です。
特徴を理解し、フル活用しましょう✊
代表的な非接触赤外線体温計
●エジソンの体温計(一般家庭向け)
エジソン(EDISON) エジソンの体温計 Pro KJH1003 新品価格 |
これはトイザラスでも売っている一般向けでは一番売れている商品✨
●スマートサーモ(医家向け)
ヒュービディック非接触赤外線体温計 SMART THERMO
新品価格
¥12,700から
(2019/8/21 00:16時点)
問い合わせ対応など医家向けのアフターサービスも行なっているようです。
少し高いですが、プロユースには安心。
●サーモフレーズ (医家向け)
日本精密測器 皮膚赤外線体温計 サーモフレーズ Bluetooth通信機能なし MT-500-11 新品価格 |
電子血圧計なども製造しているNISSEI。安心の医療機器メーカー。
●ドリテック
dretec(ドリテック) 体温計 非接触 電子 測定 検温時間1秒 赤ちゃん ベビー TO-401BL(ブルー) 新品価格 |
とにかく安い。レビューもなかなか。
展示会等で数機種見て来ましたが、非接触赤外線分野では日本での販売を行なってる一般向けなら「エジソンの体温計」、医家向けなら「スマートサーモ」が個人的にはオススメです。
後発の安価な製品の輸入品も散見されますが、値段相応という印象です。
温度計機能付きの機種もあり、赤ちゃんのいる家庭ではミルクやお風呂の温度測定などに大活躍間違いなしです。
機械の特徴を知り、ぜひ、活用してみてください。
たち耳